作者のアンテナは何歩も先に行っている気がする。
「
ジェンダー」(
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今でこそよく話題になるが、この作品が発表された'96年当時はまだなかなか理解されないことであったはず。
それをキーワードに話は進む。
そこに「聖母」母性がテーマとして絡み、今までの作品同様凄惨で、陰湿な事件にどこまでも哀しい人間ドラマが絡む。
最初、作者の作品に出会ったとき、女性が書いたとは思いもかけなかった。
読んでいる途中で女性と知ったときは驚いた。
途中までの展開ではハードな部分が浮き上がっていたために、男性だとばかり思っていた。
でも読み進むうちに女性ならではの感性が見え隠れする。
あの切なさと哀しさと憂いは間違いなく女性ならではの感性だと思う。
でもそれは弱々しいのではなく、女性の底にある不貞不貞しさというか、言葉は悪いがどこまでも強くいる、いなくてはならない女の生き方だ。
仕事に対しても、家族に対しても、愛するものに対しても女は強くなければ守ってはいけない。
開き直るほどの強さがなければ。
この
RIKOシリーズは
緑子(
RIKO)が刑事であるから、必ず事件が起き、そしてヤクザが登場する。
緑子はマル暴ではないが、重要なサブキャラがヤクザだからだ。
そして毎回の事件にはヤクザが絡む。
ショッキングな事件にヤクザ。
これだけのキーワードなら暴力的な話を想像するが、
じつは毎回、事件の中心にいるのは女性だったりする。
複数の女性が複雑に絡み合って登場する。
そしてその女性たちはとても哀しい。
だからこのシリーズは女性に受けるのだと思う。
話の始まりはとても女性が読むものでは無いような気がするのに、読み始めると話のテーマを本当に理解できるのは女性だけのような気がしてくるから不思議だ。
私も久しぶりに熱中できる読み物に出会った気がする。
こんなに乱暴な?事件の連続なのに、恐怖や気持ち悪さよりも涙が浮かぶ。
哀しくて、悲しくて、切なくて、遣り切れなくて、涙が浮かぶのだ。
登場する女たちに。
もちろん主人公
緑子の生き方に。
そして刑事たちに。
時にはヤクザの面々にさえ。
このシリーズ通しての重要サブキャラの
麻生はこの話で
緑子と急接近。
緑子は
麻生と
山内の関係に更に引きずり込まれる。
緑子にも興味があるけど、私はやっぱり、
麻生と
山内の今後が知りたいから、これからもこのシリーズを読み続ける。
コロナ犬舎